Hideki Inoue

 

photographer: Arman Zhenikeyev 

 

Q: Hidekiさんは毎日決まったルーティーンを順番通りに行うのが好きだと聞いています。その理由は何ですか?

 

24時間365日という限られている中で、自分が一番大切にしているものは何か。まず余計な情報を入れないことで、自分の身体の中やマインドの中をクリアにする。僕が大切にしているのは朝起きて歯を磨いて、シャワーを浴びて、メディテーションを20分から30分始める。それでチャンティングをして、コーヒーもしくは白湯(季節や体調によって変えている)飲んで、練習に行く。それは、マイソールにいても日本にいても同じルーティーン。太陽の出てくる時間は決まっていて、時差が多少あったとしても、そのエネルギーに自分も合わせて同じ波に乗る。そうすることでエネルギーと生きるヒントをたくさんもらえるから、このルーティンを続けているだけ。人生はクリエイトすることだと思っていて、その創造された自分が生かされている中で何を創造するか、自分が決めてるんじゃなくて、与えてもらっている。それが自然の流れ。アサナの時間はエネルギーの時間、エネルギーのギフト、だからそれを大切にしている。

 

Q: ルーティーンは無意識で行っているのですか?それとも意識的に始められたのですか?

 

アシュタンガヨガの練習を始めて10年目に入り、こういうルーティーンを無意識でやり始めて6年目くらい。人間には教育があって、小さい時から朝起きたら親から歯を磨きなさいと言われたり、学校に行けば「起立、きょうつけ、令」ってみんなで行う、日本にはそういう文化がある。剣道をずっとやっていたんだけれど、始まる前にはチャンティング(道場訓)があった。要は正すことによって一度そこに自分の意識が向かうことを大切にしている。いつも世の中が混乱しているのと同じように、人は誰しも自分の脳みその中が混乱していると思う。その混乱している脳みそを整理整頓するために、ルーティーンを作って行うことを大切にしている。

 

Q: 英樹さんは周りに影響されずにいつも穏やかですが、それはルーティーンを行って精神を整ているからでしょうか?

 

今回のマイソール滞在で自分の中で大きな変化を感じたのは、ヨガのプラクティスは大きな木になる土台作りをすることだってはっきりしたこと。大きな木になるためには土の下に根を張っていかなければならなくて、それが完成されるまでには時間がかかる。ヨガのすばらしさは、アシュタンガヨガのすばらしさっていうのは、実践をすることで自分の成長を少しずつ知ることができる。「石の上にも3年」っていう言葉は自分は好きじゃなかったけれど、やっぱり続けることはすごく大切。するとマインドが落ち着いてきて根を張ることができる。上に伸びてどんどん色んなものをキャッチすることはみんなが得意なこと。でも根を張ることは誰しもが苦手にしていること。僕らはぱっと見たものだけにフォーカスする。グランドの根を見ていないから、いつもモンキーマインドだし、人をみて判断するし、その人の中の根っこの部分を見ようとしない。同じように自分自身の奥底にあるものを知ろうとしない。それを知ろうとさせてくれるのが瞑想だったりチャンティングだったりアサナプラクティスだったり、八肢則の一番最初のヤマニヤマ、グルジも伝えているれどそこも大事にすることが結果に結びついていく。

 

Q: ヨガのアサナプラクティスで私たちはいいエネルギーを受け取り、それを他の人にもシェアしていると思います。エネルギーの循環について教えてください。

 

木とかお花に水を与えても与えなくても、何も言わないよね。僕はそれが大好きで 、お腹が空いたら、ただしょぼんとなって水を与えれば元気になるし、何もしなければ腐っていく。それは家の花だったりするけど、 外の木たちも自然のエネルギーの中で生かされている。雨が降ったらどんどん育っていくのと一緒で、この自然たちが僕たちに生きるエネルギーをくれている。太陽が出て水が出てその循環があって、自分ができることはヨガの素晴らしさを伝えること。彼らが与えている自然のエネルギーは偉大すぎて素晴らしすぎる。それに気付けている人たちは少ない。だから同じように人に伝えることもきっと時間のかかることだし、労力をいっぱいかけなきゃいけない。今は自分の知識を万全に伝えることができない。 太陽と月はいつも万全。その同じぐらいのエネルギーを、感覚を持てるぐらいの生き方をしたいなと思って。それが分かった時にそれを伝えたら、賛同できる人はきっと理解してそれを伝えていくだろう。シンプルな生き方を学んで 伝えたいだけ。

 

Q:Hidekiさんにとってパランパラ(Parampara)とは何でしょうか?

 

グルパランパラっていうのは教育、知恵、叡知(wisdom)、それを僕らは小さいときから教えられてきて、まずは親がグルパランパラ。いろんなシチュエーションのグルパランパラがあって、学校では先生が、部活動では師が、社会に出れば社長がいて、それがグルパランパラ。でも本当のグルパランパラっていうのは、親の教育と一緒だと僕は思っていて、社会に出たらそれを導いてくれる人、自分の行きたい方向・行く方向を導いてくれる人、それは言葉で教えてくれるのではなくて、ただ在るだけ。テクニカルなことでは全くなくて、世の中のこの宇宙のエネルギーのグルパランパラは太陽。グルジ(シャラート)もカンファレンスでお話されていたけれど、そのグルパランパラの中でちゃんと惑星が調和をとって、地球が滅びることなく生かされている。僕らのグルパランパラっていうのは確かにグルジがグルパランパラ。でもグルジは何を教えてくれるわけでもなく、ただいるだけ。こっちも何かを求めるのではなく、ただそこに規律正しく在るだけ。太陽も言葉を発するわけでもなくただいるだけ。グルもそこにただいるだけ。そこに自分が気付かされていくだけ。それは自分の心だったり身体だったりマインドだったりにスペースがないと出来ない。そのスペースを作るためにルーティーンがあって、ただシンプルに生きることができる。グルパランパラってどこの国とか街にあるとかないとかではなくて、既にあるもの。それに気付くか気付かないかは、自分の意識(consciousness)に働きかけることが大事。この太陽のエネルギーの中で調和をもって生かされていることが、大きな意味でグルパランパラだと思う。

 

Q: カザフスタンの生徒のみなさんに何かメッセージはありますか?

 

カザフスタンの生徒たちは、ピュアな気持ちでヨガに取り組もうとしている。僕は出会った人たちすべてに、自分が与えられた物事に対してベストを尽くすだけで、それには情熱が大切だと思っている。朝プラクティスをするのと同じで、何か特別なことではなくて、みんなとプラクティスをしているような感覚でティーチングをしている。みんなに何かメッセージを贈るとするならば、いつもうららかな時間が流れているのと同じように、練習を続けてくれたらいいね。練習の在り方は自分で探せばよくて、keep practiceが大事。ヨガはアサナだけじゃなくて、24時間365日ヨガだから、そのプラクティスをして下さい。ぜひ!いっぱい気付くことがあるから。グルジが伝えるように、準備が出来たらそれはやって来るわけで、自分の身体の中にスペースを作っていれば、色んなシチュエーションであなた自身で気付けるはず。自分の脳みそに、身体にスペースを作ってあげることが大事。アサナプラクティスもそのためのプラクティス。

 

インタビュー日時:2017年3月13日 場所:インド・マイソール           

インタビュアー:Sandi Rakh, 佐久間 有紀

 

Special thanks to Naho Aoki and Yuko Yokoyama.